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April 21, 2013

出雲神話

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 出雲神話は『古事記』の神代記の3分の1を占めています。
 
『古事記』に描かれる日本神話は、大きく高天原系と出雲系、それに海神系の話に分けられます。

それぞれが系譜でつながって一つのパンテオン(神界)を形成しています。

なかでも、天孫族と出雲族はアマテラスの弟がスサノオであるように、高天原出身の同じ一族とされているものの、両者を比べると、その性格はかなり違っています。
 
出雲の神々というは、始祖のスサノオと国土開発の英雄オオクニヌシを主人公にしていますが、最後には天孫族に屈伏し、国の支配権を譲るのです。

しかも、出雲の神々はどちらかというと、天孫族の敵役といった印象です。

出雲族の祖とされるスサノオが出雲に天降ったのは、天孫族の祖ニニギが九州に天降るよりも前であったこと。

そして、出雲族が国を造ったあと、天孫族はその国を譲り受けていることです。

そもそもこうした神話の記述をどこまで信用するかという根本的な問題があるのですが、出雲神話には、象徴的な面白い説話が幾つもあります。
 
そのひとつが八俣(やまた)の大蛇(おろち)伝説です。
 
記紀では、スサノオが乱暴狼藉を働いたために高天原を追放され、出雲に天降るところから物語が始まります。

出雲の斐伊川のほとりに天降ったスサノオは、川を箸が流れてきたのを見て、櫛名田比売(くしなだひめ・奇稲田姫)を知り、彼女を助けるために八俣の大蛇を退治します。

稲田姫を櫛に変えて自分の髪にさし、八俣の大蛇を濃い酒で酔わせ、剣でずたずたに斬り殺します。

オロチの腹はいつも血がにじんで爛(ただ)れていたというのですが、殺されたときには大量の血が噴き出し、斐伊川は真っ赤な血となって流れたということです。

そのときオロチの体から取り出されたのが草薙剣(くさなぎのつるぎ)です。

この説話のなかに、すでに箸と櫛という百襲姫(ヤマトトトヒモモソヒメ)の三輪山伝説のモチーフが登場しているのが面白いです。

魏志倭人伝によると、当時の倭国ではまだ箸を使わず、人々は手で食べていたということです。

箸は文化的で珍しい一種の文化的シンボルで、神話の物語のなかにも、それらが象徴的に使われているようです。
 
また、稲田姫という名がしめすように、出雲では稲作が早くから行われていたことも暗示しています。
 
オロチの体からすばらしい剣が発見された話は、斐伊川の上流一帯が古くから砂鉄の産地として知られ、この地域で鉄剣が造られていたことを示唆するといわれています。

オロチの腹がいつも赤く爛れており、その血によって斐伊川が真っ赤に染まって流れたというのも、鉄分を多く含んだ赤い水が流れていたことを思わせるというのです。

考古学的には、まだ出雲から弥生時代にさかのぼる鉄の鍛造所は発見されていませんが、早くから鉄の生産が行われていた可能性はあると思います。

でも、興味深いのは、巨大なオロチをスサノオが斬り殺しているというストーリーそのものです。

蛇は呪術のシンボルです。八俣の大蛇はその代表ともいえる呪術の権化です。

それを殺したスサノオは、偉大な呪術王として新たにこの国に君臨することを認められた存在ということができるでしょう

スサノオは八俣の大蛇を殺したあと、稲田姫と幸福な結婚生活を送ります。

やがて根の国(冥界)にくだってしまう。その後、出雲神話の中心人物となるのは、オオクニヌシです。
 
オオクニヌシは、スサノオの息子とも、数代あとの子孫ともされています。

オオクニヌシは因幡の白ウサギの説話からわかるように医療の神としての性格があります。

また、蛇や虫を避ける「まじない」を定めるなど、呪術の神でもあります。

根の国からスサノオの神宝をもち帰ったことによって、祭祀王としての資格をそなえ「大国主神」となります。

まだまだたくさんの神話がありますが・・・、『出雲国風土記より』要約しました。

ここで興味深いのが稲作と鉄の生産です。―いつかの機会にブログで掲載します。

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Comments

大変勉強になりました。故事、神話には必ず何かを示唆するものが含まれているのですね。

Posted by: 松山 | April 25, 2013 at 11:07 AM

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